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オープン系とホスト(汎用)系の違いを簡潔に
情報処理の教科書、はたまた同業種での集まり、転職の際の面接…。様々なシチュエーションで耳にする「オープン系」と「ホスト(汎用)系」。
具体的にどういった違いであるのか、ご存知でしょうか。正直なところ最近まで私も説明できませんでした。
こんな人材でもSE、PGとしてやっていけるのが日本のIT企業。そりゃあ新しいことも出来ませんわ…。と、ネガティブな話はそこそこに、本筋に入りましょう。
一般的に言われているのは…
一般的には以下の様な印象をお持ちでしょうか。
CRM(顧客管理システム)や人事給与システムはオープン系、
銀行の勘定系システムや大規模帳票出力業務などはホスト系
主な用途としてはそのとおりであり、それぞれの特徴は…
<ホスト系>
汎用機(メインフレーム)と言われる、企業の基幹システムなどに利用する大規模コンピュータ(見た目も超でかい)を用いる。一台で完結するため、”クローズドなシステム”と形容されることも。将来性が無いなんて言われ方もしています。ただし、オープン系の流れが生まれてから、いずれ消えると言われ続けて30年以上経っています。(理由は、ホスト系にはホスト系ならではの強みがあるからであり、後述します。)
業務的には複数業務の並行稼動に優れており、大規模バッチ、大規模帳票出力に強い。
<オープン系>
相互運用性や移植性を持ったコンピュータシステムをオープンシステムと言い、主にUNIX系を指します。プログラミングやインタフェース、様々なソフトウェアやハードウェアで運用可能な点が特徴です。
オープン系という表現が日本独自という指摘もありましたが、「複数のコンピュータで構築するシステム(クライアント・サーバ)」をホスト系と対比して表現した背景がありそうです。
業務的には冒頭に述べたようなCRMシステムのような比較的近年に登場したシステムはオープン系となります。逆に1970年代頃、システム化が進んだ時代において既に業務的に永続的であったものについては汎用機(ホスト系)に乗せられています。また、従来から用いられている汎用機(ホスト系)の基幹システムについてもオープン系への移行(マイグレーション)をする流れがあります。
なんでホスト系があるのか?
クローズドなシステムと言う言葉がありましたが、今の時代に相互運用性が無く、コストが高いとされるホスト系システムをオープン化したいと考える企業は多いようです。
そのような動きを「レガシーマイグレーション」と言います。レガシーは付けないことも。
メリットとしては代表的に以下のようなものが存在します。
(1).管理コスト・維持コストを削減
(2).技術者不足の問題を解消
(3).ベンダー依存からの脱却
ホスト系ではCOBOLという言語を用いることが多く、技術者の数もjavaなどに比べると少なくなっていく一方のようです。
私の友人はCOBOLを使うチームに配属されたことに対して「将来性が不安」と言っていました。
コボラーの市場的な需要あたりは詳しくありませんが、確かに求人では、javaを始めとしたオープン系に用いられるプログラミング言語ができた方が有利かもしれませんね。
(2018年追記:現在では市場価値のあるプログラミング言語はJava、 C、C++、Python、C#あたりとなっています。特にWeb系、モバイル系で人気があるうえにエンタープライズ系(大企業向けシステム)でも使用されるため、このトレンドは暫くの間続くと思われます。)
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1と3に関してはクローズド故に融通が効かないのでしょう。とは言え、ホスト系でもオープン標準に対応したものもあるとのことでしたので、一概にひとくくりには出来ません。
では、なぜ「ホスト系」が残るのか?
「ホスト系」はいずれ全て「オープン系」に移行することが求められているのか?
そんなことはありません。ホスト系にもオープン系に負けない部分があるのです。
汎用機+COBOLの強みは高速/高並列処理であり、これは特にバッチ処理で強みとなり、UNIX系・Javaで勝てない部分であります。それゆえに今でも大量のバッチ処理を要する銀行・証券・保険の重要システムで多用されています。また、費用対効果としても非常にコストがかかるため、今後も金融機関を中心に汎用機+COBOLのシステムは残り続けることが予想されます。
マイグレーションの案件の悲しさ
それでは最後に、ホスト系からオープン系への移行にまつわる話をご紹介して終わりたいと思います。
ここではレガシーマイグレーションの一例として、汎用機(ホスト系)上のCOBOLシステムをオープン系のWebシステムに変えるプロジェクトを想定します。
マイグレーションを実施する理由は先述したとおりですが、そのために一気にシステムをリプレイスする開発案件が結構多くあります。
規模が大きくなる程、所謂デスマーチ化することが多く、既存のシステムからビジネス的にはあまり付加価値を生まないため、不毛な案件となりがちです。
デスマーチ化しやすい理由は、システムのリプレイスということで、大抵の経営層が投資対効果に対して良く思わない事に端を発し、どうしても期間的にも最小限の見積もりとなりやすいのですが、実際は回帰テストや予想外の難題が発生して、工数が膨らみます。
技術的な問題やテストのための工数増大が認められる場合はまだマシで、リスケジュールや外部のコンサル等を投入して無事にリリースすることを目的とできます。しかし、一番良くないのが「無理」という事を中間管理職あたりが隠し、経営層が求めるスケジュール・予算に収めることが目的となった場合です。この場合、コアとなる後半のテストフェーズがいい加減になり、後に障害につながることがあります。そして、金融機関である場合はその説明責任が金融庁から求められ、問題は複雑となり、責任の所在が明らかになれば担当は処罰を受けることもあります。
案件自体の目的も、それにまつわる社内政治とかもあまり魅力的ではありませんね。個人的には内部(開発)からも外部(監査・コンサル)からも絶対に関わりたくない案件の一つです。
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